地域の特徴を活かし、まち・人・学校をゆるやかにつなぐ

紀北町立相賀小学校

設計コンセプト

三重県中南部に位置する児童数250 名程の小学校の改築です。敷地は集落に囲まれた中心にあり、校門には門扉がありません。このような地域に抱かれた特徴を活かし、まちのアイデンティティとなり、まちと自然とつながる、相賀(あいが)ならではの学び舎づくりを目指しました。外観は校舎全体を包む大屋根に抱かれ、分節された各ボリュームがまちのスケール感に溶け込む構成としました。日本有数の多雨地帯に配慮し、軒のあるデザインとしています。また、グラウンドに沿ったリズミカルな列柱と深い軒のある路地・縁側空間は、まちを学校に引き込み、地域と学校の関係をより身近なものにします。配置計画は、一部残した既存校舎に対し、中庭を中心に新校舎をV字型に近接させました。これにより回遊性が生まれ、新旧校舎がコンパクトかつ一体的につながります。 内部は小規模校の特徴を活かし、各教室がゆるやかにつながり、学校全体をフルに活用できる空間構成としました。普通教室間の壁は可動式で教室自体の大きさ・形状を可変でき、クラス数や学習形態の変化に柔軟に対応します。既存校舎は躯体のみを残し、教室配置を含めて内外装を全面改修し、新たな校舎として蘇りました。 また、オープンな空間構成や深い軒のある半屋外空間など、屋内外を豊かにつなげるとともに、内装や軒天、縁側などには地場産桧材を多用し、木の温もりのある空間づくりを心がけています。

受賞

【2011】第43回中部建築賞入選

建物概要

発注者 紀北町
所在地 三重県北牟婁郡紀北町海
用 途 小学校
構造・階数 鉄筋コンクリート造 / 鉄骨造 ・2F
延床面積 5,030 ㎡
竣工年 2010年
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