京都らしさを体現した情報発信拠点

ピックアップ

NHK新京都放送会館

設計コンセプト

老朽化が進む現放送会館の建替計画です。放送技術の進歩に伴うさまざまな変化に対応する一方、地域に根差した施設づくりが求められました。烏丸通に面した計画地は、御池・三条通に近い文化ゾーンに位置しており、エントランスホールには公開収録等に対応した公開スペースを設け、地域の人を呼び込む開かれた構成としています。外観は壁面の分節化や奥行感のあるファサードにより京都らしいデザインを実現しながら、スカイラインや鉄塔デザインにも配慮し、周辺景観との調和を図っています。災害時にも放送を出し続けられる万全の防災性能を備えた放送機能を有するとともに、地域に開かれ京都らしさを発信し続ける、真の情報発信拠点を目指しています。

受賞

【2014】第2回 京(みやこ)環境配慮建築物(最優秀賞) 【2018】京都景観賞 建築部門(市長賞)

建物概要

発注者 日本放送協会
所在地 京都市中京区
用 途 放送局
構造・階数 鉄骨造 / 鉄骨鉄筋コンクリート造・5F/B1F
延床面積 6,755 ㎡
竣工年 2014年
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景観形成・外装計画の考え方

NHK京都新放送会館は、繊細な格子や庇による構成や地場産木材の利用などにより、京都らしさを表現しつつ、各通りのそれぞれの環境に応じたきめ細かい外観デザインとしています。

■鉄塔
 必要最小限の平面形状と落ち着いた色彩とすることにより、京都の町並みにふさわしいデザインとしています。
■東立面
 烏丸通に面する東立面は、「開かれた放送会館」を表現し、京都らしさを感じさせる構成としています。
■南立面
 東面から連続する立面構成とし、低層部には歩廊を設けることにより、にぎわいを生み出します。
■西立面
 質感のある壁面と庇や開口の陰影による立面構成とし、旧市街地に対する顔づくりを行います。
 

東立面





○鉄塔
・鉄骨ラーメン構造によるスケルトンフレームとし、アンテナ類は極力構造フレーム内に納まるよう、必要最小限の平面形状としています。
・周辺景観になじむグレー系の落ち着いた色彩とし機能上支障のない範囲で、ルーバーにより修景を行います。






○頂部
・周辺建物と高さを合わせた庇を設け、建物頂部に陰影を創り出しています。



○中・高層部
・庇などの水平線により壁面を分割しつつ、ダブルスキンにし、内部にたて格子を設けることにより奥行感のある壁面構成としています。



○低層部
・大きなガラス面を設け、烏丸通に対して開かれた構成としています。
・姉小路通側には庇やテラスを設け、鈴鹿山収納庫と呼応するヒューマンスケールの空間を創り出しています。

南立面





○中・高層部
・セットバックと屋上緑化を行うことで、周辺住宅地への圧迫感をなくしています。
・庇などの水平線により壁面を分割しつつ、ダブルスキンにし、内部にたて格子を設けることにより奥行感のある壁面構成としています。



○低層部
・道路幅の狭い姉小路通に対して通り抜け可能な通路を敷地内に設けるとともに、庇やテラスなどにより、ヒューマンスケールの空間を構成しています。
・道路境界には、植栽帯を設け景観に配慮しながら、まちに潤いを与えています。

西立面





○中・高層部
・質感のある壁面(PC版サンドブラスト加工)と、開口部・庇などによる陰影の構成で圧迫感をなくしています。
・ルーバーや開口部により、内部やテラスの気配がうかがえる設えとしています。



○低層部
・建物をセットバックさせて空地を設けるとともに、庇や繊細なたて格子などによりヒューマンスケールの空間を構成しています。
・道路境界には、築地塀と植栽帯を設け駐車スペースの景観に配慮しながら、まちに潤いを与えています。

省エネ技術

ダブルスキン、むしこ窓(スパンドレル部開口)を利用した自然通風

・ダブルスキンは下部(2階スパンドレル部)より 給気、頂部(R階パラペット部)より排気します。
・対象室にはファンによる外気導入を行い、天井内から消音機を通してダブルスキン内へ熱気を排出します。
・排気口にはダンパーを設置し、火災信号や外部環境等の状況に応じて開閉制御を行います。
 
自然通風のイメージ図
ダブルスキン内部

光ダクトによる自然光の導入

・ダブルスキン内採光部より自然光を取り入れ、事務室内に導入します。
光ダクトのイメージ図
事務室