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設計コンセプト
敷地はラムサール条約登録湿地「三方五湖」で知られる風光明媚な町、若狭町。バイオマスタウン構想を掲げ、町全体で環境問題に取り組む一環で、環境省モデル事業「学校エコ改修と環境教育事業」に手を挙げました。 改修対象の校舎は量産されたいわゆるハーモニカ型校舎。築40年以上経った校舎を「地球温暖化防止につながる学校改修」を目標に3つの柱を軸に進めました。
【学習環境の改善】
教室の往来が不便な動線、使い勝手の悪いゾーニング、コミュニティ空間の欠如。数多くの問題を抱えた学習環境を学校空間の骨格から見直し、「使いやすくゆとりある校舎」への改善を図りました。 生徒玄関や環境学習ギャラリーを併設した渡り廊下棟の増築により、校舎に中心性を生み出し、そこから校舎全体にアクティビティが広がる空間構成としています。点在していた特別教室は集約・兼用させ余剰教室を生み出し、使い勝手のよい教室配置にゾーニングし直しました。また、クラスルームは学年ごとにまとめ、全て開け放てる木製建具により廊下と仕切り、オープンな学習空間を生み出しました。教室間の間仕切は東西方向に可動でき、減少する児童数に合わせて空間ボリュームを可変させ、多様な学習形態にも対応できる柔軟さを持たせています。
【温熱環境の改善】
夏は暑く、冬はとにかく寒い校舎。自然エネルギーを生かしたパッシブな手法を中心に「夏暑くなく、冬寒くない校舎」への改善を図りました。 校舎全体は屋根・外壁ともに外断熱化をはかり、開口部のペアガラス化を含め断熱対策を徹底しました。特に夏場対策として、給気窓を教室や廊下に配し、逆流防止の自然排気窓を設置した風の塔により、ドラフト効果を利用した自然換気・ナイトパージを促進しました。また、可動ルーバーにより夏場の日射熱を室内に入れないよう配慮しています。冬場対策としては、地域の間伐材や木屑からできた木質ペレットを燃料としたペレットストーブ(ゼロカーボンストーブ)を採用しています。
【環境教育への取組(代表的な取組の一つ)】
改修前、三方五湖を模した池のある中庭は、緑が生い茂り立ち入れない場所。なんとかしたいという生徒の発案で、五湖は新たに五つの植栽穴で表現され、昔の名残を残しつつも、走り回れるウッドデッキの中庭に生まれ変わることとなりました。設計・施工は地元高校生との共同プロジェクトにより行われ、地域施工WSも開催し、中庭づくりにより環境への意識を地域へと広げるきっかけとなりました。
ごくごく平凡な既存ストックである学校校舎をいかに環境にやさしい校舎に生まれ変わらせることができるか。
「学校エコ改修」により芽吹いたエコの芽が、ゆっくりと、そして確実に地域の「環境への意識」を変えていってくれることが次のステップです。
建物概要
- 【建物名称】
- 若狭町立三方中学校(エコ改修)
- 【受賞】
- 第42回中部建築賞(一般部門)特別賞
- 【発注者】
- 若狭町
- 【所在地】
- 福井県三方上中郡若狭町
- 【用途・テーマ】
- 中学校
- 【構造・階数】
- 鉄筋コンクリート造 / 鉄骨造・3F / B1F
- 【延床面積】
- 5,454m2
- 【竣工年】
- 2010年



