力強い架構と繊細なルーバーによる、木に包まれた空間

ピックアップ

真庭市落合総合センター

設計コンセプト

本施設は、既存体育館を活かしながら、市役所支所・保健センター・公民館・図書館といった市民サービス機能を統合したものです。メインファサードは、210mm角の一般製材を4本束ねた列柱によって大庇を支える、深い陰影のある構成とし、地域交流の拠点に相応しい親しみやすい表情を目指しました。内部空間では、一般製材とエンジアリングウッドを、その特性を生かすよう組み合わせ、力強い架構と繊細なルーバーによる、木に包まれた空間となっています。建物中央に設けたハイサイドライトから柔らかな自然光が注ぐ2層吹き抜けの中央ロビー「おちあいの杜」が、各交流機能を優しく繋ぎとめています。

受賞

【2016】木材利用優良施設表彰(農林水産大臣賞)
【2017】第20回木材活用コンクール(第1部門賞)

建物概要

発注者 真庭市
所在地 岡山県真庭市
用 途 公民館・市役所支所
構造・階数 木造 / 2F・鉄筋コンクリート造 / 3F
延床面積 4,741㎡
竣工年 2016年
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木質バイオマスによるゼロエミッションの実現

真庭市は古くから木材の集散地であり、近年は「バイオマスタウン真庭」として、木質資源を活用した地域振興が軌道に乗りつつあります。落合総合センターは、そんな杜の都でなければできない、次世代の環境共生施設を目指しました。
地域産木材を最大限活用するため、延床面積約4,200㎡のうち3,000㎡近くを、燃えしろ設計による木造準耐火構造とし、木構造の最大化を図りました。
また、真庭市産の木チップとペレットを主燃料とした「バイオマス熱源システム」を採用することで地産地消のエネルギーシステムを構築しています。
受水槽や照明器具、カウンター、ベンチ、書架など「内外装・構造体・エネルギー」のあらゆる面において、地産地消に努め713㎥もの地域産木材の活用を行っています。市内ではバイオマス発電所も稼働を始め、本施設への送電が予定されており、実現するとまさに木質バイオマスによるゼロエミッションが落合総合センターで実現します。
 
真庭市落合の空撮
落合総合センターは市役所の分室としての機能や図書館、地域交流スペースなどを備えた公共施設。真庭市産の木チップとペレットを主燃料としたバイオマス熱源システムの施設も併設し施設に供給しています。敷地南側には備中川が流れ、北側で旭川と合流します。
 
西側エネルギー棟
南東側全景

木と自然光が織りなす地域交流の核

本計画は、市役所支所・保健センター・公民館・図書館・既存体育館といった、さまざまな市民サービス機能を複合した地域交流施設です。メインファサードは、210mm角の一般製材を4本束ねた列柱により大庇を支える構成としました。木の質感による深い陰影が、地域交流の核に相応しい親しみやすい表情を生み出します。内部は、一般製材とエンジ二アリングウッドをそれぞれの特性を活かすよう組み合わせ、力強い架構と、繊細なルーバーによる木に包まれた優しい空間となりました。木と自然光が織りなす「おちあいの杜」が、各機能を緩やかに繋ぎとめています。
210mm角の一般製材を4本束ねた列柱が連なります。列柱は幅4.2m,高さ8.6mで東西方向に約70m連なります。列柱には保護塗料を塗布しています。
延床面積4,200㎡のうち3,000㎡を燃えしろ設計による木造とすることで、木造準耐火構造とし列柱の木構造を現しで使用しています。

木材はすべて地場産材を用いて実現

木造を選択した理由
この建物は「内外装・構造体・エネルギー」といった、建築のすべての構成要素に真庭産材を活用し、次世代の環境共生施設を実現することをテーマとしています。木構造をすべて現しとし、地域産木材と自然光が織りなす、新たな公共空間の創出にも積極的に取り組んでいます。

材種
柱:ヒノキ製材・ヒノキ集成材  梁:ヒノキ集成材
その他:小屋組材・筋交:スギ

生産・流通
調達:すべて真庭市産材  加工:銘建工業
組立・施工:銘建工業

構法
LSB (ラグスクリューボルト)工法

敷地条件
防火指定なし  法22条区域

用途
市役所支所・保健センター・公民館・図書館

耐火性能
柱・梁・床:45分耐火  屋根・壁:30分耐火

補助金
平成26年度森林整備加速化・林業再生事業(木造部が対象)
平成27年度岡山県公共施設再生可能エネルギー等導入推進事業費補助金
(グリーンニューディール基金事業補助金,木質バイオマスボイラー・太陽熱集熱設備・太陽光発電・蓄電池が対象)

建物を通り抜ける2層吹き抜けの「おちあいの杜」
4本が束ねられた列柱の中央には十字形のプレートがあり、このプレートと角材がボルトで連結されています。4本の組柱は真庭市内で材料を確保しています。建築基準法上、木造部の延床面積を3,000㎡以下に抑える必要があるため、事務室はスパン約8.7mの鉄筋コンクリート造としています。
 
木造の2階和室
2階図書館
1階事務室
主な省エネ技術
柱平面詳細図
柱は集成材ではなく製材を使用しています。420mm角の製材は入手困難なため、210mm角×4本に分割することですべて真庭市内で材料を確保することが可能になりました。
「おちあいの杜」断面詳細図