知の創造拠点

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同志社大学 医心館

設計コンセプト

同志社大学では2008年に工学と医学を融合させた新学部・生命医科学部を開設、より広い視点で「生命」をとらえ、医療・福祉・健康分野での新たな「知の創造」の場となる教育研究棟を京田辺キャンパスに計画しました。本建物には医工学学科、医情報学科、医生命システム学科及び大学院生医科学研究科の研究室・実験室を配置、次代の医療と健康を担うエンジニアや研究者の育成を目指し、機能的で快適な教育環境を作り出しています。

受賞

【2012】日本建築学会作品選集 入選

建物概要

発注者 学校法人同志社
所在地 京都府京田辺市
用 途 大学
構造・階数 鉄筋コンクリート造 / 鉄骨造・6F/B1F
延床面積 18,066 ㎡
竣工年 2008年
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学部・学科相互の交流スペース

既存キャンパスとの連携を考慮し、高台であった建設敷地の中央部を大きく造成し、「生命医科学部・生命医科学研究科」の顔となるエントランス広場をつくり出しました。キャンパスのメインストリートに面するこの南向きの広場にエントランスを配置し、緩やかな階段で本建物にアプローチしています。広場からエントランスホールを経て南北に貫く建物のメイン動線に併設して、集いと想いのための、コモンスペースや多目的室を配置しています。また、G階より1階情報ギャラリーに導く大階段の吹抜空間に面して水を湛えたカスケードを配置、緩やかな開放感と潤いのある空間を作り出しています。これら交流スペースが、本学部3学科の学生・教職員のみならず、キャンパスを往来する人々の出会い、交流の場となり、そこでも新たな知の創造が行われることを期待しています。
エントランスホール
カスケード

新学部にふさわしい機能性と利便性を追及した実験研究施設

本建物は、大きく北棟、南棟、特殊実験棟の3棟により構成されています。北棟は医工学科と医情報学科、南棟は医生命システム学科、特殊実験棟はRI実験等の実験研究棟となっています。エントランスから各棟へは、南北に貫く中央のメイン動線にてスムーズに導かれます。また、各棟はサービスヤードでもある中庭を囲む配置としています。さらに、一般実験エリアの北棟と南棟は東西軸に配置し、全ての部屋が南北面より採光確保できる明るい研究実験環境をつくり出しています。特に研究室は、北棟と南棟の雁行配置により採光・眺望が良好な南面に全室を配置し、快適な研究環境としています。北棟・南棟共、基準階では、実験・研究・演習の3つのゾーンの中心にコアが位置する効率的な配置としています。外壁側の柱幅は、梁幅(壁厚)と同一とし、柱型を出さない構造を採用、内部レイアウトに自由度を持たせた実験スペースをつくり出しています。また、廊下側の全面点検が可能な設備スペースにカロえ、南棟実験室の外壁側にはテクニカルシャフトを設け、メンテナンス性の向上と、設備の増設・更新が容易なフレキシビリティを有した施設としています。
東側外観

「医」の施設として安全・安心への配慮

高度な「医、工、情報」の実験研究施設に入室管理システムを導入し、安心・安全な施設をつくり出しています。建屋→フロアー→実験研究施設へと2重、3重のセキュ リティを構築しています。また随所でユニバーサルデザインを実施し、教職昌や学生だけではなく本施設の来訪者にも安心して使っていただけるよう、配慮しています。
実験研究施設
実験研究施設

京田辺キャンパスにふさわしい外観計画

東側外観

ボリュームの小さな建物から、大きい建物ヘセットバックする連続形態を創り出し、威圧感の無いヒューマンスケールを有した建物形態を目指しました。伸びやかな屋根の重なりをつくり、周辺の山並みや豊かな緑との調和にも配慮しています。京田辺キャンパスの特徴でもある、勾配屋根や外壁の色合いを継承しながら、同志社大学が有する「格式と品位を併せ持つ貯まい」を医心館でも表現 しています。20年を迎えたキャンパスに調和させながらも新学部棟にふさわしい新しさと多様性を表 現しています。
鳥瞰図