インタラクティブな場の創出
キャンパス整備においては、生徒の居場所を新たに創出することも重要なテーマであります。
ここでは、体育館とグラウンドを一体化・融合化することで、新たな関係性や交流を生み出すことを試みました。
体育館の足回りに、移動空間にも憩いの場にもなる外部化された軒下空間(クラブデッキ)を巡らせ、
人工芝グラウンドとの問に「観る・観られる」といったインタラクティブな関係を創出しました。
このクラブデッキは、立体的な回遊動線でもあり、グラウンドを観ながら、外部から3階アリーナまで辿り着ける構成としています。
また、壁面から大きく張り出したガラスのボックスには、ホワイエと教官室を内包しており、ここからキャンパス全体を見渡せる計画となっています。
積層コンプレックスアリーナ
新体育館は、1,300人が収容できる大ホール兼アリーナの他、25m室内温水プール、柔道場、武道場、トレーニングルーム、部室、室内ランニンク遠路等、
さまざまな機能を完備したコンプレックスアリーナとなっています。
バスケットコート3面分のアリーナは、50m×32mの大平面となるため、
3階まで持ち上げ、その他の諸機能を1,2階に集約する構成としている。
アリーナを積層することで、外部空間である人工芝フィールドを最大化することができ、限られた敷地の中でサッカー兼ラグビーコートの確保が可能となりました。
安全面では、アリーナと室内温水プールといった大空間には天井を一切設けず、地震時の天井落下の不安を払拭した安心・安全の教育環境を実現しています。
環境面では、アリーナと室内温水プールで居住域空調を行う等、エコキャンパスとして約20%の省エネ効果を試算しています。
担当者コメント
「新しい建物」を設計する場合でも、全くの白紙の敷地はありません。
既存の建物があり、周辺にも建物があります。そして、新しい建物は、その風景や街並みに新たに加わることになります。
どのように風景に加わり、どのような街並みを生み出すか、それを実現できるのも設計の魅力です。
今回の総合体育館とグラウンドの全面人工芝化は、キャンパスリニューアルの一環であったため、特にその点がポイントとなりました。
そこで、これまでのイメージを「一新」するデザインを取り入れ、
『新しく生まれ変わったキャンパス』というメッセージが、すべての人に伝わるようにしました。
また、キャンパス内には、生徒たちの居場所や動線も新たに設け、グラウンドとの「観る・観られる」といったこれまでになかった関係性も生み出しています。
キャンパスが生まれ変わったことを機に、新たな交流が生まれ、豊かな学生生活の場が創出されることを期待しています。