
しかしながら、最近の少子化と大学進学の大衆化で、大学のあり方は大きく変貌しています。大学進学率が半数を超える状況では、昔のように研究をベースに教育するだけでは、立ち行かなくなっています。社会の変化に柔軟に対応できる教養、社会の要請に機敏に応えられる専門性を備える人材育成が必要とされています。
その意味において、大学は現実社会の入口・接点としての場といえます。キャンパス計画や建築計画にあたって、当社はさまざまな研究施設・専門機関の実績を最大限に生かし、専門へのプロローグとしで快適な施設づくりを目指しています。
また、人と人が自然に触れ合える空間づくりを心掛け、人が人を導く場として、専門力をもつ教員と学生が触れ合い、同じ意識を持った学生同士が切磋琢磨する場を創出し、次世代を担う学生がいきいきと過ごせるキャンパス計画を創造し続けていきたいと考えています。
新しい知をデザインする
大学において常に求められるものは、最先端の研究・学習環境を整備することであります。快適でフレキシブルな研究室・講義室・実験室・図書館などの機能を満足させた上で、私たちが常に提案するのは、充実したオープンスぺ-スです。今まで、ラウンジ、カフェ、広場、屋上庭園など、居心地の良い学生の居場所・交流スペースを提供してきました。近年、オープンスぺ-スの性格もくつろぎのスぺ-スから学習のスペースに変化しています。友人との対話・交流だけでなく、個人としての自学自習、レポート作成、グループとしてのディスカッション、プレゼンテーションにも利用されます。ニーズに適したスケール、自然環境などの物理的条件を考慮し、無線LANや視聴覚設備の導入、空間に応じた照明や家具などの設備を整備することで、多種多様なオープンスペースを設置することができます。学生動線の結節点では、学部・学科を超えたオープン・ゼミを開催するなど、他分野との交流によって出会いが対話を生み、新たな研究テーマを見出す可能性もあります。対話による「知の集積」が新しい価値を創造するのです。