小学校・中学校・高等学校の設計・監理実績のご紹介。
小中一貫校、中高一貫校、環境学習型エコスクール等

子どもたちの視点でつくる

子どもたちの視点でつくる  経済不況と緊縮財政の中、事業コストの縮減・環境負荷の低減・施設の複合化・老朽化対策と耐震補強など、学校施設に対する要求は多大となっています。平成の市町村合併と少子高齢化による学校統合・閉校が都市圏でも広がり、小中一貫校の動きも活発化してきています。
 依然としてアメニティーが低く、ローコスト建築である学校も「開かれた学校」をキーワードに小学校のオープンスクール、中学校での教科教室型学習プログラムの採用により学校施設も大きく変化しました。「地域社会に開く」ことも、コミュニティースクールの概念により地域と学校がともに子どもを育て、ともに見守るシステムも確立し始めています。

 中学校では校区自由化も提言され、「子どもたちのよりよい育みの環境を創造することで豊かな地域社会の実現をめざす」ことが重要な課題であります。「サステナブルなまち育て」の究極は、その校区の子どもを増やし続けることであると叫ばれています。
未来の学校づくりを「子どもたちの視点でつくる」謙虚な姿勢で創り続けることが求められる「時代でもあり社会環境」でもあります。

CO2排出量を約60%削減

豊田市立土橋小学校

豊田市立土橋小学校
土橋小学校ではエコ改修に伴い、日射遮蔽ルーバーや躯体の断熱化を図り、校舎への省エネ器具や太陽光パネルなどの設置を導入しました(ハード整備)。 これらの「ハードの整備」によるCO2削減量をシミュレーションにより算定し、設計時試算として-16%と想定しました。 改修工事終了後おどろいたことに、1年間のエネルギー消費量を計測すると、 実績値は設計時の想定を大きく上回る約60%のCO2削減となっていました(設計時試算よりさらに約50%の削減)。
 

地域との協働による里山再生

豊田市立浄水北小学校

豊田市立浄水北小学校
人口が急増する新興住宅地に新築される浄水北小学校。 その敷地の一部にまとまった雑木林があります。 昔は地域の子どもたちの遊び場でしたが、その後手入れがされず、荒廃した状態となっていました。 小学校の誕生を機に、里山を地域の力で再生させ、子どもたちや地域の方の活動・学習の場にすべく、 建築設計と同時に里山整備活動がスタートしました。
 

中高一貫教育の名門私立女子校

甲南女子中学校・高等学校

甲南女子中学校・高等学校
90周年を迎えたこの甲南女子中学校・高等学校には2つの大きな特長があります。 1つ目は積み重ねてきた歴史です。既存校舎群は、庭から茶室に至るまで、すべて村野藤吾氏 の作品であり、40 年以上経た今もなお、独特の風合いを醸しながら皆に愛されています。 そして2つ目は恵まれた立地環境です。神戸・六甲の豊かな自然の恵みに抱かれた標高 75mの敷地からは、大阪平野から瀬戸内までパノラマで一望でき、さながら緑に抱かれた 展望台にいるようです。 新校舎の計画にあたっては、これら2つの特長を最大限に活かし、甲南女子ならではの 校舎づくりを目指しました。
 

エコスクール計画

大口町立大口南小学校

大口町立大口南小学校
エコスクールとは、環境を考慮した学校施設のことです。 地球温暖化対策が喫緊の課題となっている中、学校施設においても、環境を考慮した施設として、エ コスクールの整備が求められています。エコスクールは、環境負荷の低減に貢献するだけでなく、児 童生徒の環境教育の教材として活用することもでき、さらには地域の環境教育の発信拠点としても先 導的な役割を果たす点で重要です。 エコスクールの整備に際しては、「やさしく造る」、「賢く・永く使う」、「学習に資する」の3つの点に留意することが求められています。

トイレでエコを学ぼう

豊田市立土橋小学校

豊田市立土橋小学校
エコ改修を行った土橋小学校ではトイレ改修を題材にした環境教育にも取組みました。 トイレは水も電気も使う場所で、節水や節電について学ぶのにはうってつけの場所です。 家でも学校でも毎日使う身近な生活空間なので、子どもたちにとってもイメージしやすく、 学校で学んだことを家庭でも活かせる良い教材になります。 さらに、設計ワークショップや施工体験ワークショップを通して、児童や教職員の間にはトイレへの愛着が生まれ、 きれいに、大切に使う意識が芽生えました。竣工後もトイレを題材にした環境教育は継続され、 「先輩が作ってくれたトイレを大切に使う」という気持ちが受け継がれています。

地域産木材の活用

新城市立黄柳川小学校

新城市立黄柳川小学校
日本有数の良質材、三河杉をふんだんに使った校舎を計画しました。 森林が豊富であれば木材の調達には事欠かないと思われがちですが、大量の木材を使用するとなると、あらかじめ伐採のタイミングや 乾燥期間などを把握する必要があり、工期や発注との緻密なスケジュール管理が必要となります。 本計画では地元森林組合等の協力により、総量約800m³、木構造及び木工事の90%以上を市内産材でまかない、 地場産業の活性化、地産地消に貢献することができました。

新城市立黄柳川小学校

新城市立黄柳川小学校

木の学び舎が呼び起こす記憶とともにまちは歩む

敷地は長篠の戦いの舞台で知られる新城市、旧鳳来町に位置します。山吉田地区2校の統合校として、長年地域から切望された木造2階建て校舎、全校約70名の小規模校です。わずか9,000㎡足らずの狭い敷地にコンパクトに建てることが課題でした。校舎は敷地北側を流れる黄柳川沿いに東西に伸びやかに建ち、日当たり・風通しに最大限配慮しました。形態はまちの豊かな自然環境、四季折々の美しい風景になじむ簡素でシンプルな表現を心掛けました。周辺の山並みや家並みに合わせた切妻屋根、地域材で設えた下見張りの木壁は、この地区の昔からの風景をかたちづくる構成要素です。また、地域と学校の交流の場、円形多目的ホールのとんがり屋根は地域のシンボルとなっています。構造部材・外内装材には日本有数の強度・美観をほこる「三河杉」を800m³使用し、建設で使われた90%以上の木が地域材となっています。地域と協働でつくったリサイクル陶器による黄柳川の水生生物をモチーフにした陶器壁画は殺風景なプール外壁を鮮やかに彩ります。
受 賞
【2013】第47回SDA賞サインデザイン賞入選(A-2類) 【2014】第9回木の建築賞 日集協集成材建築賞
【2014】木材利用優良施設表彰「農林水産大臣賞」
  • 所在地 愛知県新城市
  • 用 途 小学校
  • 竣工年 2013年

(仮称)豊田市立第2浄水小学校

(仮称)豊田市立第2浄水小学校

学校づくりから「学びのコミュニティ」づくりへとつなげる挑戦

愛知県豊田市では、「共働」というコンセプトのもとにまちづくりを進めています。本校は人口急増による分離新設校ですが、豊田市初の試みとして、この考え方を取り入れた「地域共働型学校づくり」の主旨のもと計画を進めています。これは、新しい学校づくりを通じて地域、学校、家庭がつながり、お互いに助け合い育ちあう、生涯学習を通じた「学びのコミュニティ」の創造が最終目標です。メインの議論の場として、地域住民、自治団体、学校、行政、専門家が集まる整備検討会「おいでんの会」を月1回程度開催しています。議論の中で見えてきたことは、「地域共働」といえども、まずは子どもの教育の場として、子どものためにという視点を忘れないことです。その中で地域がどのように関わることができるか、できることから少しずつはじめていく重要性が確認され、校舎完成前からいくつかの活動がスタートしています。このプロジェクトでは、地域の主体性をいかに引き出すかが重要となります。地域にとっても、学校にとっても、負担に感じてしまっては成り立たない。お互いがメリットを共有できるWIN-WINの関係を目指して学校づくりはこれからも進んでいきます。
  • 所在地 愛知県豊田市
  • 用 途 小学校
  • 竣工年 2014年