国内外の社員を対象とする高機能研修施設

ピックアップ

武田薬品工業(株)研修所・宿泊棟

設計コンセプト

創知の杜
吹田市街から生駒の山並みを見渡す丘陵地に敷地は位置します。関連企業の欧米エグゼクティブへのグローバル研修から様々な国内研修に対応できる多彩な機能を備えた施設としてこの研修所は建設されました。敷地内の豊かな緑=森に育まれてきた生命の連鎖のように、この研修所で生成された多彩な知財が、人々の交流を通じて醸成され、より高次な知財を創生することをイメージし、「創知の杜」の創造をコンセプトに掲げました。研修ゾーン廊下のアルコーブや各宿泊棟の談話コーナー等、意匠的、機能的に分節された建物ブロックの結節点を外観、内観のデザイン、空間創造のアクセントとし、人々が行き交い、出会い、感性を刺激し合う、交流の場「NODE(ノード)」と位置づけています。敷地内にのびやかに建物を配置したことで、内部空間も外部空間も想像以上に多彩な雰囲気を創造することができました。この施設から多彩な知財が創生され、優れた医薬品の創出に寄与する人材が世界に羽ばたいていくことを願っています。

受賞

【2010】 第4回おおさか優良緑化賞 選考委員会奨励賞
【2011】 第4回大阪サステナブル建築賞(奨励賞)
【2011】 平成22年度日本造園学会賞(設計作品部門)

建物概要

発注者 武田薬品工業(株)
所在地 大阪府吹田市
用 途 研修所 / 宿泊棟
構造・階数 鉄骨鉄筋コンクリート造 / 鉄筋コンクリート造 / 鉄骨造・4F/ B1F
延床面積 23,933 ㎡
竣工年 2010年
備 考 (株)エスエス大阪
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BIM(Building Information Modeling)

本プロジェクトでは、クライアントやチーム内での早期の空間イメージ共有により設計をより円滑に進めるべく、BIM(Building Information Modeling)の設計手法を導入しています。設計時点では内外観のデザインシミューションとして活用し、着工後は材料の画像データを実際にマテリアルとしてリアルにレンダリングしたパースを70点以上作成し、プレゼンテーションすることによって内装材料や家具を選定しています。設計者自身が、内装の家具、備品に至るまでさまざまなパターンをモデリングし、実際の完成後とほぼ変わらないイメージをクライアントに提示することで、手戻りのない早期の材料や家具の決定に大いに役立ちました。 (右は、BIMによるシミュレーションを並べて示しています。)
エントランスホール
一般食堂

多彩な研修機能に対応する明快な施設構成

一般研修機能は400名収容の大研修室から、さまざまな研修スタイルに対応できるように8、12、28、56、82人のユニット型の研修室とし、ユニットイメージを表現したボックス型の外観デザインとしました。グローバル研修ゾーンは一般研修ゾーンとは離隔し、グレード感も差別化を図り、エグゼクティブな雰囲気を感じられるように、内装は天然木壁面で統一し、家具も世界的に多くの人々に親しまれている時流に流されないものを配しました。
一般研修室
グローバル研修室
一般食堂は、西の「創知の庭」に向けて明るく開けた空間とし、気候の良い日には研修生が積極的にテラスやベンチに集って食事ができるように計画しました。グローバル食堂は東の「思索の庭」に向けて開けた空間とし、一般食堂と同様にテラス席を配しています。また、研修後の懇親の場としてパーティールームも和洋各1室配置しています。
一般食堂
グローバルダイニング「舞妓」

設計+CM監修によるきめ細やかなインテリアデザイン

一般宿泊室は5カ月におよぶ新人MR導入教育などの長期研修に配慮し、親しみやすく優しいナチュラルなイメージのインテリアとし、グローバル宿泊室は、研修ゾーン同様一般宿泊室とは印象を変え、落ち着いた雰囲気でエグゼクティブ感の感じられるインテリアデザインとしました。館内には武田家とゆかりのある「画家・小磯良平」の絵画が数多く掲げられており、アカデミックな印象を与えています。また、各室名称もその絵画にちなんだ名称となっています。家具選定に関しても、設計+CM監修という体制で、幾度となくクライアントとの選定会議を開催し、実物を吟味した上で選定しています。
一般宿泊室
グローバル宿泊室