「知」をはぐくむ「コミュニティ・コモンズ」
地域社会ともに教育・保育の「知」をはぐくみ、次代の教育を国内外にリードしていく「人と情報のネットワーク拠点」として設立された新館です。理論と実践による知識のネットワークを活かし、先生や生徒、卒業生、地域の人々といった教育に携わる様々な人が、相互に対話し、交流することで「生きた知」を身につけることができる環境づくりを目指しています。交流スペースの核となるのが、中央の光庭に面し、1階から4階まで吹抜を介して立体的に回遊する「コミュニケーション・コモンズ」です。ここに「探求・刺激」「発見・発散」「練上・収束」「発信・共有」の4段階のアクティビティの場を展開することで「学生の自発的・自立的・創造的な学び」を促す場を構築しました。館内のどこからも人目につき、吹き抜けを介して見る見られるの関係をもつ空間構成が、より自発的行動を誘発する仕掛けとなっています。立ち寄りやすく居心地のよい空間づくりのために、分かりやすいグラフィックサイン、オープンな階段、収納と間仕切を兼ねた木製パーティションやカウンターといったディテール検討を重ねました。授業の合間につい立ち寄りたくなる「ヨリミチ・コモンズ」として親しまれることを期待しています。
コミュニティ・コモンズ(プレゼンテーションコート、スチューデントコモンズ、教育資料アーカイブ)アクティブイメージ
キャンパスデザインとの調和
武庫川学院の伝統あるキャンパスデザインを継承しながら、新しい開かれた施設としての開放感がある外観デザインを目指しています。東西の開口部のない壁面と、南北面の奥行きのある連続したリブ壁によって、学院のアイデンティティともいえるレンガ調タイルの表現を際立たせ、陰影のある表情を形成しました。リブ間のガラスカーテンウォールが明るい透明感を表現しています。特に国道43号沿いの1階に顔をのぞかせる「コミュニティ・アゴラ」は学院の教育研究活動の地域への表出や女子大らしい華やかな演出が可能なオープンな表情をもたせ、通りとキャンパスの繋がりを創出しました。鳴尾駅からのアプローチに面する西面は、アルミルーバーのシャープな軽快さとレンガ調タイルの壁面の対比によって構成し、学院の顔となるファサードデザインとしています。
レンガ調タイルのリブ壁とカーテンウォールによって陰影のある表情