庭の体験
ゲストを迎える、いざないの庭「前庭」。エントランスの格子戸を入ると、奥行き感のある「坪庭」の緑がお出迎え。その奥、通り庭のような通路をぬけると、風を感じる大きな広場「中庭」。大階段の先には、「奥庭」の緑。京町家にある庭のリズムのようなシークエンスをつくり出しました。これらの庭を立体的に組みこむことで、建築はランドスケープと一体化され、建築の外皮を構成しています。
光の体験
京都駅前にありながら、どの空間をとっても自然光を感じられる空間としています。
メインロビーとなる吹抜空間は、ホテルの「中庭」と位置付けられ、⾵を感じるアートや刻々と変わる⾃然光など庭の体験をつくり出しています。印象的な⼤階段は、京都の寺社の⼭⾨のように⽇常から離れ、聖域へ⼊るような⾼揚感を得られる空間となります。昼は光に照らされて粗密のある⽊質格⼦が浮かびあがり、夜は格⼦の内側から光が漏れ静寂な印象に。⼈の動きと相まって、光と影、静と動が協和した陰翳礼賛の世界観を創出しています。
チャペルは、低層部屋上に配置され、周りをビルに囲まれた狭隘な環境のなかで、光や緑を⽬いっぱい感じられる礼拝空間を⽬指しました。チャペル正⾯と背⾯で形の異なる顔づくりをし、それらの頂点を結ぶように縦格⼦状でゆるやかな曲⾯の⽊壁でつないでいます。木壁により周囲環境を隠しながら、天井からは格⼦越しに光が差込み、正⾯のモザイクガラスより光が溢れ、側⾯ガラスに続く⽔⾯には緑が映り込み、背⾯は庭に開く。ホテル全体のデザインコンセプトを踏襲しつつ、チャペル特有のちょっとした華やかさ、荘厳さ、凛然さをシンプルな形状で表現。⽊のぬくもりとやわらかな光に包まれたチャペルを実現しました。
木洩れ日のような光が差し込むチャペルのステンドグラス
おもてなしの体験
これみよがしではなく、見せない心づかいこそが、本当の歓びを生む。この精神を建築にも込め、見せないデザイン、サービスと一体となった空間づくりをおこなっています。
これら3つの体験を、各々の空間で人それぞれに愉しめる環境を実現しました。