まちづくり
本開発事業は区域面積が9.3haに及び、計画される施設もほとんどが高層建築物であることから、周辺環境に対するインパクトも非常に大きいものとなります。景観形成の見地から、まちづくりデザインガイドラインが策定され、さらに、景観シミュレーションシステムを用いて関係者の意向調整が行われました。各施設の外観検討やまちづくりの目玉となる屋外デッキや歩行空間の具体的な検討が行われました。シミュレーションの結果は行政関係者や近隣住民など事業のステークホルダーに対するプレゼンテーションを用いられるとともに、病院内のエントランスを含めたシミュレーションを行うことにより、病院スタッフに対してもまちづくりの空間イメージの確認に有効でありました。また、建物の高層化や交通環境の変化による影響を確認するため、風環境調査や交通量調査など、各事業者が連携し開発事業全体で環境影響評価を行っています。
医療機能
本計画は225床の病床を、168床を回復期リハビリテーション病棟、57床を障害者施設病棟として整備しています。医療の質の向上と医療費の削減が叫ばれる社会環境において、医療機関では急性期から回復期、その後在宅医療へと至る地域における医療提供の流れを構築し、患者の様態に応じて適切に医療を提供することが求められています。当院においては回復期のリハビリテーション医療を担う病院として、患者を急性期病院から受け入れ在宅復帰へと導く役割を担っている。そこでは、いわゆる一般病院とは異なり、駅前に立地する都市型リハビリテーション病院の特性に応じたデザインが求められます。計画にあたっては病院に直接詳細にヒアリングを行い、医師、看護師、セラピスト、薬剤師、栄養士、事務職員などチーム医療を展開するさまざまな立場の方との意見交換を綿密に行う中で、病院のあるべき姿を求めてゆく必要があります。設計段階におけるヒアリングはもとより、施工段階においても、事前の使い勝手の確認や、病院が購入する医療機器や備品設置との調整状況を、施工図面、完成予想図、モデルルームなどにより具体的に確認しています。
希望
美術家 谷山恭子氏により「みんなの森」と題するパブリックアートが企画されました。子どもたちにワークショップ形式で描いてもらった「木」の絵をもとにしたグラフィックが病棟の廊下に製作され、病気と闘う患者の希望の源となるよう期待されています。