まちのシンボルとなる学校

神河町立神河中学校

設計コンセプト

町の8割を山林が占め、峰山・砥峰高原に代表される関西地方でも有数の高原地帯があり、数多くの清流をもつ地域、神河町においてイメージした原風景は、豊かな山並みの緑に融合する自然に包まれた“地域みんなの『大きな家』”でありました。統合により町で唯一の中学校となる校舎は、日本の伝統的な集落にみられるような、優しさと暖かい情感あふれる空間づくりを目指しました。開放的なスクールストリートとクラスター配置の普通教室が“学び”と“交流”を意識した、生活のある学習空間の新しいスタイルとなります。校舎周辺に散りばめた、変化に富んだ屋外空間は生徒がのびのびと過ごすことができ、活動性・積極性を高めることを期待しています。

受賞

【2012】第13回兵庫県人間サイズのまちづくり賞(奨励賞)

建物概要

発注者 神河町
所在地 兵庫県神埼郡神河町
用 途 中学校
構造・階数 鉄筋コンクリート造・3F
延床面積 6,608 ㎡
竣工年 2011年
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まちのシンボルとなる学校

クラスター状に配置された普通教室棟が多様な屋外空間を生み出し、子ども達の交流を誘発させます。ポイントとして県産材の杉板を利用した特徴的な打放し化粧壁と穴あきブロックの取合わせがシンボル性を演出しています。学校は子ども達の学び舎であるとともに、地域文化の拠点としての役割も果たさなければなりません。統合により町で唯一の中学校となる本校においては、元気な子ども達の歓声が響き渡る地域づくりのシンボルとして、まちの人々が自分たちの学校として誇れるような“みんなの学校”づくりを目指しました。周辺から望む大きな屋根とリズミカルな風の塔に表現されるフォルムが、子ども達と地域の人々の心に残る風景となることを期持しています。
子ども達の交流を誘発させる屋外空間
まちのシンボルとして設えた多目的ホールと、子どもたちを優しく迎え入れるエントランス空間

居住空間としての学校

生徒と教師がふれあい共に学ぶ環境づくり
校舎棟の核となる「スクールストリート」は階段・吹抜など変化のある空間構成により、光がふりそそぎダイナミックな視界が広がる開放的な街路空間を形成しています。隣接するオープンスペースや図書コーナーが賑やかで人の集まる“まち”の核を演出し、安らぎや交流のきっかけに満ちた場となることで、学校生活にメリハリを持たせ、次の授業へ気持ちの切り替えとなります。また街路に対し普通教室を クラスター配置させることで、賑やかな街路に対し静的なプライベート空間が確保でき、男女別に集約させた洗面・更衣ゾーンと共に子ども達の心の拠り所となります。

学習への知的好奇心を揺さぶる環境づくり
吹抜を利用した図書コーナーを、移動の際に必ずふれる校舎の中心的空間に配置することで日常生活の中で誰もが即座に利用することが可能となり、「教え込む授業」から「子ども達の自主的な学びの環境」になることに期 待しています。居住空間となる校舎の中心に全ての生徒が利用する場所を設けることで、「学び」と「交流」を意識した、“生活のある学習空間”の新しいスタイルを目指しました。
図書コーナー
スクールストリート