細長い敷地の「余白」を魅力ある空間に再構築
本計画の基本設計および実施設計・監理業務の監修は京都工芸繊維大学長坂教授によるものです。KYOTO Design Lab(D-lab)は当初、隣接建物に連結させる必要性から、キャンパス中央緑地を潰して建てることが検討されていました。しかし、学生時代から多くの時間をこのキャンパスで過ごされた長坂教授は、「この緑地は木陰に学生たちが集うキャンパスの中心的な場所である。この緑地は保存すべき。」の想いを強くされ、既存棟と敷地境界線との「余白」に建設することを構想されました。「余白」の幅の大小と東西約1mの地盤の高低差は、105mの長大な空間に適度な揺らぎと分節を生み出す契機となり、こうして生まれた室内の各スペースは、イベントに応じて選択し、活用されることになりました。一見無用に見えた敷地の余白は、個性的で魅力ある目的空間として再構築されたのです。
小スパン構造による柔らかで軽快な空間づくり
屈曲する平面形状に無理なく適応するため、桁行2.4mの小さなスパンを採用しています。柱は丸柱を採用することで、敷地形状により角度のついた鉄骨仕口に対応しています。また、張間スパンは約4~10mと様々ですが、柱外径は216.3φで統一し、鋼材厚で変えること許容応力に対応しています。この小部材である丸柱により柔らかで軽快なリズムを刻み、シームレスでニュートラルな空間を実現しています。