風光明媚な敦賀のまちに相応しい伸びやかでシンプルな小中一貫校舎
児童生徒の主要なアプローチは、以前と変わらず敷地西側の正門からとしました。アプローチ空間には、スクールバスの待合や駐輪場を兼ねた正門棟を整備し、積極的に緑化を図ることで、道路向いの氣比神宮とつながる計画としています。
校舎棟の外観デザインは、敦賀の港からはじまる広大な海の水平線をイメージした水平基調のデザインとしており、子どもたちの活動の背景となる伸びやかでシンプルな表情をつくり出すことを目指しました。
コンパクトさがもたらす豊かで機能的な「8の字型平面ゾーニング」
活動に合わせて選択できる「集団学習スペース」の充実
学びの拠点となるメディアセンターは動線の要となる1 階中央に配置し、小中一体化により、本を介した児童生徒の日常的な交流や、小中相互の図書利用ができるメリットを活かします。学内のICT 環境を充実させ、校内のどこからでも情報が収受できる環境をつくります。角鹿ホールは、床が階段状になっておりプロジェクターや音響装置を備えた発表用途に対応したスペースです。木の芽ホールは、フラットな広い床での制作作業や軽運動をすることができ、多目的に使用することができます。
児童生徒の成長段階に合わせた学習・生活スペース
交流や出会いを促す生活の場づくりとして、小中間を超えた交流、異なる学年間の交流を促進する交流&共有の場を校内に点在させます。アメニティスペース近くのカウンタースペースや中庭のテラスは、幅広い人間関係づくりの機会をつくります。3本の南北廊下は、動線に回遊性をもたせるとともに多様な移動経路の選択肢を用意し、交流の自由度を確保します。
教職員への負担を減らす職場環境づくり
小中の教員同士の連携を図りやすくするため、小中職員室は領域をゆるやかに分け一体化させました。中央には管理職系の島をつくり、小中の連携を更に深めやすくします。共有する印刷室やリフレッシュスペースも中央に配置し、印刷作業や休憩だけでなく、2,3 人で立ち話しながらコミュニケーションが図れる設えとなっています。メディアセンターとも近く、児童生徒が先生に質問しやすい距離感となっています。
職員室
スペース
機能性にも配慮した小中一貫校ならではの内装木デザイン
小中一貫校では、9年間同じ校舎で学び生活することになるため、発達段階に合わせて内装に変化をつけました。学校生活で最も長い時間を過ごす普通教室ゾーンの教室と廊下の腰壁に用いた杉板の色味を変化させ、学年のまとまりが意識できるよう、学年があがる毎に成長を感じられるような配慮をしています。
屋上や中庭に設けたハイサイドライトから室内に光を取り入れ、その光が拡散し室内全体を明るくするよう、仕上材の反射率を考慮し、木の仕上げ面と白系の仕上げ面のバランスに配慮した計画としました。
児童生徒にとっても地球にとっても優しい環境づくり
敦賀の恵まれた自然環境を有効に活用し、夏涼しく、冬暖かな学習・生活環境をつくることは子どもたちの成長に寄り添う校舎づくりの根幹となります。照明のLED化や節水型衛生機器の採用など、校舎を省エネ化することはもちろん、外壁・屋根・開口部の高断熱化、中庭や風の塔によるドラフト効果を利用した通風促進、ライトシェルフによる日射遮蔽や拡散光の採り込みなどパッシブな手法を中心とした環境配慮技術を採用しました。校舎を教材とした環境教育につながるような工夫を設えることは、将来的に児童生徒の環境配慮に対する意識を育むことに繋がります。