正門まわりの風景を未来に繋げる

ピックアップ

同志社大学致遠館

設計コンセプト

本計画は今出川キャンパス正門の正面に建つ、1916年竣工・レンガ造2階の致遠館を建替える計画です。これまで「記憶の継承」をテーマとして、キャンパス全体の整備を行っており、本計画においても「正門まわりの風景を未来に繋げる」ことを目指しています。
外観は既存致遠館のレンガ割や窓位置等の壁面構成を抽出し、立面デザインを再現しています。レンガ壁は2階までとし、新たに設けた3階は存在感を抑えたガラスとすることで、近接する重要文化財の有終館との関係性にも配慮し、正門廻りの風景を継承しています。

建物概要

発注者 学校法人同志社
所在地 京都市
用 途 大学
構造・階数 鉄筋コンクリート造一部鉄骨造・3F / B1F
延床面積 約3,200㎡
竣工年 2021年
← 実績一覧へ戻る

既存致遠館のプロポーションを抽出した外観デザイン

新致遠館の外観は、これまで親しまれてきた致遠館の平面形状と高さのプロポーションを抽出し、立面デザインを完全に再現しました。レンガ壁は既存致遠館と同じ高さ(2階高さ)に抑え、3階は存在感を抑えたガラスとし、瓦屋根をかけることで、重要文化財である有終館とのレンガ高さの関係性の維持に努めました。
また、創建時のエトランスアーチや2階レリーフの石積を新致遠館に保存・再利用し、100年以上の歴史を現代に受け継ぐと共に、レンガ壁のイギリス積みやレンガ割、まぐさ・ボーダーの石積み等の細部デザインを踏襲し、歴史ある外観を継承するよう計画しています。
ダイアグラム
創建時の石積みを生け捕りにより再利用
レンガ高さの維持による風景の継承

機能性を高めた内部空間

平面ゾーニングイメージ

事務室機能となる内部はPCを採用し、13m×42mの柱のない執務空間を構成することで、将来の変化に柔軟に対応できる、高いフレキシビリティを確保しました。また、レンガ積中空積み工法による外断熱とし、空調は床カーペットから全面吹き出す、『床染出し空調』を採用することで、居住域空調による快適性向上と省エネ効果を図ることができました。既存建物の高い天井高を生かし、開放感がありながら、機能性を高めた執務空間を創出しています。
プレストレスト・コンクリートによる無柱空間の2階事務室