街の風景に溶け込むランドマーク

ピックアップ

みなとみらいグランドセントラルタワー

設計コンセプト

みなとみらいグランドセントラルタワーは、総合商社丸紅が出資する特定目的会社による、ハイクラスオフィスと、横浜にゆかりのあるレストラン等を誘致した商業施設からなる「横浜オンリーワン」にこだわった複合施設です。敷地は、みなとみらい21中央地区のほぼ中央にあたり、街づくり基本協定におけるビジネスゾーンとインターナショナルゾーンとの結節点に位置します。敷地南東側は、横浜美術館やランドマークタワー方面が一望でき、北東側はみなとみらいの主要な歩行者軸のグランモール公園に面しています。 建築計画においては、このような地区の中でも恵まれた立地特性を最大限活かせるよう、周辺環境・街並み・都市景観に調和する地球環境に優しい施設を目指しました。

受賞

【2012】北米照明学会照明賞「Award of Merit」

建物概要

発注者 MM42開発特定目的会社(丸紅(株)出資)
所在地 神奈川県横浜市西区
用 途 事務所 / 店舗 / 駐車場
構造・階数 鉄骨造(地上) / 鉄骨鉄筋コンクリート造(地下)・26F/B2F
延床面積 114,544㎡
竣工年 2011年
備 考 CASBEE(横浜)「Sランク」
撮影:エスエス東京
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事業者とともに取り組んだ街づくり

敷地南側交差点から見る

都市景観への配慮
海から丘に向けて高くなる地区特有のスカイラインを継承するため、海側のマンション群より高い120mの高さを横浜市環境影響評価の審査を経て実現しました。
風環境の改善
敷地周囲の歩道部のみならず、当街区が面する地区の主要歩行者空間であるグランモール公園の落葉樹を常緑樹種に植替え、風が強い地域特性への貢献に努めました。
隣接街区との調和
敷地コーナー部には、憩いや空間を共有する場を計画し街区間の親和に努めました。
グランモール公園南側より低層棟を見る

都市構想の継承
道路を挟んだ街区間の歩行者ネットワークを立体的に繋ぐ街づくり構想を受継ぎ、2階レベルに連絡橋の受け口と地上面に橋脚の設置スペースを見込んだ対応を行いました。
夜間景観の形成
高層オフィスの頂部ライトアップやスパンドレル部にLED照明を取入れ、エネルギーセーブを実施すると共に時刻や街のイベントに同調する演出も取り入れました。
美術の広場前交差点から南東側夜間外観を見る

設計主旨

配置計画 高層オフィス棟を敷地南東側のいちょう通りからセットバックさせて圧迫感を低減し、近接するタワーマンションとの見合いに配慮しながら、横浜美術館やグランモール公園と呼応する、3方向に開かれた「人と街」、「人と芸術」、「人と環境」とが調和する屋外空間を創出しました。この広大な屋外空間には、四季折々の植栽と水景空間、数々のパブリックアートや趣のある空間を随所に設け、人々が思い思いに活動できる場、休息できる場を提供しています。北西側には隣地との間に地区施設として歩行者空間の確保が前提となっていたことから、これを建物内に取り込み、トップライトを持つアトリウム空間(ガレリア)とすることで、人々が天候に左右されずに楽しみながら快適に利用できる空間を創出しました。この空間の両側に店舗を配し、さらにグランモール公園側にもモール形式の店舗施設を連続させることで、みなとみらい全体の活性化にも貢献できる施設づくりを目指しました。
空に伸び行く外観計画 高層オフィス棟外観は、「シンプル・繊細・優美」をキーワードに空に伸び行く上昇感や先進性をガラスカーテンウォールと水平ルーバーがグラデーションの様相を纏うデザインとして表現し、街の風景に溶け込む、みなとみらい21の新しいランドマークの創出を目指しました。低層商業棟は透明感のあるガラスファサードとし、ピロティーやテラスといった光や風を感じられる中間領域を随所に配置し、店舗内部と外部空間とを連続させ、人々のアクティビティーが街に表出するデザインとしました。
南東側外観
グリーンシアター
オブジェ
グリーンモール

オフィス計画

専用部は、奥行き約20m、最大6分割に対応可能な無柱空間のオフィスとし、自由なレイアウトを可能にしています。また、4方向に開口部を持つ開放的なフルハイトサッシからは、みなとみらいを象徴する都市のパノラマを最大限に享受できるよう計画しました。共用郡は落ち着きのあるインテリアとし、気持ちの切り替えやコミュニケーションを促す場を確保するとともにその中に自然光を取り入れる工夫に取組みました。構造設計においては、地震や強風による揺れを吸収するオイルダンパーによる制震システムを採用し、より高い安全性と居住性を確保しています。
基準階事務室

地球環境への取組

環境技術としてオフィスのペリメータには、Low-Eガラス、自動制御ブラインド、簡易エアフローシステムを採用し、夏期・冬期それぞれでの熱負荷低減を図っています。日射負荷の大きい南面には、水平ルーバー〈ライトシェルフ〉を設置して日射遮蔽と、照明設備の省エネルギー化を図っています。地域への熱負荷低減策として、卓越風に配慮した配棟計画、ピロティーや中高木植栽による日陰、低木・地被植栽や水景施設による地表面温度の上昇抑制、保水性舗装を採用して、ヒートアイランド対策に取り組んでいます。これらの都市環境との調和や地球温暖化防止策への取組みが総合的に評価され、「CASBEE横浜」Sランクの認証を取得しました。
事務室窓廻りを見る
オフィス廻り断面図