未来を拓く⇒キャンパスの新たな顔づくり
メインの正面ファサードは、村野藤吾氏のデザインモチーフである、量塊感と透明感を併せ持つガラスブロックを全面に積み上げ、キャンパス景観に配慮しながら、未来を拓く象徴的なデザインとし、「清く・正しく・優しく・強く」という甲南女子大学の教訓を表現しています。
エントランスホールには、甲南女子大学の学章をモチーフとした光壁のアルミキャストを設置しました。これも村野氏が多くの作品で使用した、京都の工房で制作しています。
軽快に積み上げた、ガラスブロック全面を浮かび上がらせた正面ファサード
甲南女子大学の学章をモチーフとしたエントランスの光壁
村野藤吾氏設計の管理棟との連続性を保つため、ピロティ列柱の柱寸法や仕上材を合わせている
構造計画
既存校舎は耐震壁が多く、今後の学部再編等に対応できないため耐震壁を北側の一部に集約し、南側は完全なワンルームとなるよう、フレキシブルな構造計画としました。これにより、エントランスの吹き抜けピロティや、透明感のある正面ファサード(全面ガラスブロック)を実現することができました。
高度地区制限や、既存キャンパス景観との調和を重視し、絶対高さ20m以下に抑えるために、床を全てPCa床版で構成しており、階高3.5mの中で床版裏3.3m・リブ底2.9mを確保しています。また、キャンパスが山の手にあるため、搬入できる工事車両が限られるため、同じ型枠のPCa床版を背合わせで使用することで、ローコストながら1枚のPCa床版の重さを3トン未満に抑え、限られたヤードでの工事が可能となりました。
幅955ミリ、長さ9500ミリのPCa床版を背合わせで使用
設備計画
建物のスカイラインを保つため、室外機を建物北西に集約して積み上げ、屋上に一切設備機器を突出させない計画としました。空調がフル稼働してもショートサーキットが起きないようシミュレーションを行い、設備スペース内の壁や床の位置を決定しました。
スカイラインを保った屋上。南側に阪神間を一望できる屋上芝生広場(天然芝を使用)。
屋上の金属屋根は、芦原講堂と同じ緑青としている。