地域の拠点を学校の中心に
敷地中央・昇降口横に地域の居場所となる活動拠点「ふれあい活動室」があるのが特徴的であり、加えて「内のひろば」「外のひろば」「屋根のあるひろば」などの屋内外の活動スペースを敷地内に散りばめています。「内のひろば」は2 層吹抜の多目的ホールで、その周囲に回遊性を持って配置された特別教室や図書室を学校と地域の「共用ゾーン」と位置づけ、双方が活用しやすい構成としています。また、段階的にプライベートな普通教室クラスターへと移行するゾーニングとし、児童の落ち着いた学習環境も合わせて確保しています。
設計から工事・完成後まで 継続した地域との関わり
設計初期から教職員や地域住民とのワークショップを計17回開催し、学校と地域が連携した使い方の検討をベースに、ハード・ソフトの両面で議論を重ね、計画に反映しました。この特徴的なゾーニングはその成果の賜物です。地域住民の方は継続して学校づくりに関わり、地域の祭りでの計画PRや工事段階での各種イベント企画などを主体的に行っていただいたり、開校後の学校・地域連携活動のキーパーソンとしてご活躍いただいています。
写真3-2:屋内運動場に実寸大の教室を再現し、
広さや棚の大きさを確認
写真3-3:地域の方が企画した
旧校舎お別れイベントでの風船飛ばし
順次建替で同じ場所に新校舎を建てる
校舎用地を一部拡張し順次建替を行うことで、仮設校舎を作らず、かつグラウンドと校舎の関係性を変えずに新校舎を建設しました。2年半に及ぶ工期の間に複数の仮設計画を立案し、学校・地域・発注者・施工者・設計監理者が緊密に連携することにより、安全を確保しつつ無事工事を完遂することができました。新校舎は既存校舎を避けつつ4棟に分割して計画しつつも、完成後に一体的に違和感なく成立するよう、平面・立面的に細やかな配慮を行いました。
写真4-2:1期工事完了時。
既存校舎を挟み南北に新校舎を建設
写真4-3:竣工時。既存校舎を解体後、
中央に新校舎を建設し、外構を整備