テクスチャー


建物の中核施設となるホール

舞台設備計画
規模の異なる演劇やミュージカル等の舞台芸術の公演から、クラシックコンサートや集会・大会まで幅広い利用が求められた多目的ホールです。このためプロセニアムには、多様な公演に応じて高さを可変できる昇降式機 構を採用し、プロセニアムの裏側に配置したティザー及びウイングの機構により、プロセニアム開口の調整を可能としました。主舞台上部には照明バトン類の他、多様な演出を可能とする静音型可変速電動巻取りマシン(昇降 速度0.3~90m/分)による吊物バトン21本を整備し、音響反射板は分割して格納しています。舞台中央部にはオーケストラひな壇としても利用可能な大迫を整備し、大型倉庫として設けられた奈落間との備品類運搬を簡便に しています。舞台照明設備については、多様な演目利用 を想定し、各所にコンセント等の負荷設備が配置され、外部からの持込み機器への対応にも配慮しています。調光設備では、各種異常を瞬時に検知できるインテリジェント機能を持った調光器が採用され、またデジタル調光操 作卓の整備により、舞台袖におけるさまざまなシーンヘの操作対応が可能となっています。
小規模ながらも、演劇をはじめとする舞台芸術の公演から音楽利用まで多様な利用が想定されています。舞台機構設備としては、吊物バトンや照明バトンの他、良好な音楽空間を実現するために音響反射板も設置しています。舞台後壁を正面反射板とし、演技・演奏空間に影響しない ホリゾント幕の裏に天井反射板を格納しました。側面音響反射板はプロセニアム形式の舞台を構成する袖パネルとしても使用できるように整備しました。客席前方に設けた客席段床を構成するための客席迫機構により、平土間形式やセンターステージ形式への可変を可能としましたた。舞台照明設備については、各種形式に大きく可変するホール空間に対し、あらゆる角度から十分な投光が行えるように、各投光スペースにコンセント等が配慮されています。調光設備は、大ホールと同様にインテリジェント調光器・デジタル調光操作卓を整備し、操作性を含めて大ホールとの互換性を考慮した機器が整備されています。電気音響設備については、大小ホール共に技術の進歩を踏まえたデジタル卓の採用、充分な音量音質で、隅々まで明瞭に拡声できるスピーカシステムが採用されています。

建築音響計画
舞台開口幅、客席サイズ、視距離等の要件から生まれた幅の広い客席空間でありながらも、1階席中央に反射音が届くよう、音響シミュレーションにより、壁面形状やバルコニー席形状を求めました。RC庇形状のフロントサイド投光室の床スラブには、客席に反射音を返す音響庇としての効果をもたせています。この庇小口を水平に伸ばして客席壁面デザインの基調としており、反射音が客席でより有効に働くよう、細かなボーダーをフィン状に突き出しています。その他、音響的な拡散効果と反射効果を期待した台形断面形状の幅が異なる縦リブをランダムに設けており、音響的機能をデザインとして取り込んでいます。
多様な催物を考慮した客席上部の4本のキャットウオークはデザイン的に下面を曲面とすることで、平土間時の上下間フラッタエコーを防止しています。また、2階ギャラリー天井ルーバー内の見えない部分を傾斜させ、1階客席への反射音を増やしました。1階壁面には、その奥行きと幅をランダムに設定した縦リブを設け、音の拡散と平行面によって生じる音響障害防止に配慮しました。大ホールと小ホールとの間には、管理通路を計画すると共に、構造的なエキスパンションジョイントを設け、小ホールでは防振遮音構造を採用することで両ホールの遮音性能を高め、多くの演目に対して、2つのホールの同時使用を可能としています。
