地域材の使用
円形多目的ホールのとんがり屋根
校舎は敷地北側を流れる黄柳川沿いに東西に伸びやかに建ち、日当たり・風通しに最大限配慮しました。形態はまちの豊かな自然環境、四季折々の美しい風景になじむ簡素でシンプルな表現を心掛けました。周辺の山並みや家並みに合わせた切妻屋根、地域材で設えた下見張りの木壁は、この地区の昔からの風景をかたちづくる構成要素です。また、地域と学校の交流の場、円形多目的ホールのとんがり屋根は地域のシンボルとなっています。木を現しにした内部空間は、まるで森の中にいるような広がりと優しさを感じられる雰囲気としました。構造部材・内装材には日本有数の強度・美観をほこる「三河杉」をふんだんに使用し、建設で使われた90%以上の木が地域材となっています。
RC造の躯体に木造の屋根をかけるハイブリット構造のアリーナ
多様な学習に対応
平面計画は2学年を1ユニットとし、大きな多目的スペースと小さなクワイエットルームを組み合わせ、多様な学習に対応できるクラスタープランが特徴となっています。1階には管理諸室、低学年ユニット等を配置し、アリーナ・多目的ホール・特別教室の一部による地域開放ゾーンとは明快にゾーン分けを行いました。2階には音楽室をはじめとした特別教室を中央に配置し、両ウイングに中・高学年ユニットを配置することで、通過動線のない落ち着いた学習環境を確保しました。環境配慮の特徴として、屋根・外壁の断熱化、深い軒での日射遮蔽、腰屋根によるドラフト効果を利用した自然換気等、豊かな自然環境を生かしたパッシブな手法による温熱環境の構築を図りました。
ワークショップ
施工段階では地域と学校のこどもたちとともに「手づくり感のある温かみと親しみやすさ」をコンセプトにサインづくりを行いました。地域のヒノキでつくった木のピクトサイン、季節ごとの旧校舎の思い出をちぎり絵で表現し、子どもたちが協働でつくった防火扉の校内案内サイン、地域と協働でつくったリサイクル陶器による黄柳川の水生生物をモチーフにした陶器壁画は校舎を鮮やかに彩ります。 たくさんの人の想いがつまったどこか懐かしい木の学び舎は、子どもたちをそっと見守り、寄り添い、まちの未来を照らし続けます。
環境断面図