甲南女子中学校・高等学校
私立一貫校、エコスクール(自然通風・採光・屋上緑化等)

甲南女子ならではの新校舎を求めて

90周年を迎えたこの甲南女子中学校・高等学校には2つの大きな特長があります。 1つ目は積み重ねてきた歴史です。既存校舎群は、庭から茶室に至るまで、すべて村野藤吾氏 の作品であり、40 年以上経た今もなお、独特の風合いを醸しながら皆に愛されています。 そして2つ目は恵まれた立地環境です。神戸・六甲の豊かな自然の恵みに抱かれた標高 75mの敷地からは、大阪平野から瀬戸内までパノラマで一望でき、さながら緑に抱かれた 展望台にいるようです。 新校舎の計画にあたっては、これら2つの特長を最大限に活かし、甲南女子ならではの 校舎づくりを目指しました。
村野藤吾氏の庭を望む新校舎
村野藤吾氏の庭を望む新校舎
大阪平野から瀬戸内までをパノラマで望む立地環境
大阪平野から瀬戸内までをパノラマで望む立地環境
各階平面図
各階平面図
全体配置図
全体配置図

伝統と創造の学び舎

既存校舎への増築であるため、新校舎は村野作品との調和に配慮して、素材、色彩、意匠 等を決定しました。さらに、新校舎から村野氏独特の造形美や庭を望める計画とすることで、 甲南女子の長い伝統に対して、敬意を表した学び舎としています。
村野藤吾氏設計の既存校舎との調和(正門側から敷地全体を見る)
村野藤吾氏設計の既存校舎との調和(正門側から敷地全体を見る)
新校舎の窓から村野氏独特の造形美を望む
新校舎の窓から村野氏独特の造形美を望む

風と光と緑の学び舎

建物中央に3層吹き抜けの「光のアトリウム」を設け、それを取り巻くように教室を配置しました。 六甲の自然の恵みを建物内部まで導き入れ、次代を担う生徒たちが、風・光・緑といった自然の中で、 大いに学び、語らい、活動し、それぞれの心象風景としていつまでも記憶に残る学び舎づくりを目指しました。
学校生活の中心となる光のアトリウム
学校生活の中心となる光のアトリウム

肌で感じられるエコスクール

生徒たちが6年間を過ごす中で、環境に対しての意識が自然と育まれるように、多くの環境配慮技術を採用しました。 「光のアトリウム」を通して自然通風・自然採光を促進する構成とし、屋上芝生広場を設ける等、学校生活 を通じて、生徒が環境への取り組みを肌で感じられるエコスクールとしました。 また、太陽光発電パネルで普通教室の照明用電力をまかない、さらに建物の照明を全てLED 化する等、 先駆的な取り組みを行っています。発電量はエネルギーモニターに映し出され、目で視て発電状況が確認できます。
肌で感じられるエコスクール
肌で感じられるエコスクール
既存の芝生広場を再現した屋上芝生広場
既存の芝生広場を再現した屋上芝生広場
光のアトリウムのライトアップ照明(夕景)
光のアトリウムのライトアップ照明(夕景)
エネルギーモニター
エネルギーモニター
設計者顔写真
平野 尉仁(設計室 主管)

担当者コメント

6年間を過ごす学び舎は、生徒たちにとって大切な居場所です。 そして、仲間とともに過ごす大切な時間は、誰にとっても一度きりのものです。
『~生徒たち一人一人の心象風景として、いつまでも記憶に残っていく~』
そんな特別な場所をつくる機会に参加できることが、設計者の醍醐味だと考えています。
今回の新校舎では、学校生活の中心に、全校生徒がつながる「光のアトリウム(吹き抜け空間)」を用意しました。 ほかにも、風のラウンジや創作テラス、屋上芝生広場など、日常の色々な場面を想定して、生徒たちの居場所を随所に設けました。 この新校舎で生まれた学年を超えたさまざまな交流が、次代を担っていく生徒たちの思い出となり、 伸びやかな感性を育むことを期待しています。