大口町立大口南小学校
公立小学校、エコスクール(クールピット・雨水利用等)

エコスクールとは

エコスクールとは、環境を考慮した学校施設のことです。 地球温暖化対策が喫緊の課題となっている中、学校施設においても、環境を考慮した施設として、エ コスクールの整備が求められています。エコスクールは、環境負荷の低減に貢献するだけでなく、児 童生徒の環境教育の教材として活用することもでき、さらには地域の環境教育の発信拠点としても先 導的な役割を果たす点で重要です。 エコスクールの整備に際しては、右図の3つの点に留意することが求められています。
エコスクール概念
文部科学省ホームページより引用

大口町立大口南小学校での取組み

子どもたちの生活の場である学校により多くの「エコ」の要素を取入れ、校舎が環境学習のきっかけとなる ような計画に努めました。 クール& ヒートピット、雨水井水利用、風の道づくり、太陽光パネルの設置などのエコの取組みと合わせて、 各学年クラスターにはそれらの効果を日常的に観察できるエコパネルを1 台ずつ設け、子どもたちが日常的 に環境について学べるようにしています。

※環境断面図にある数字は、以下の環境配慮項目の
   設置場所を示しています。
環境断面図
環境断面図
環境断面図
環境断面図

やさしく造る

(1)児童にやさしい環境を
・自然通風+日射遮蔽→夏涼しい校舎に
・校舎の高断熱化+冬の日射による採暖
   →冬暖かい校舎に
・中庭やハイサイドライトによる自然採光
・木の温もりを感じられる内装
・緑など自然を身近に感じられる
   屋外ワークテラスや中庭、ビオトープ

(2)地域にやさしい環境を
・校舎の低層化による景観との調和、
   周辺への日影緩和
・グラウンド砂の飛散防止
・雨水貯留槽や透水性舗装による周辺下水道への
   負荷低減

(3)地球にやさしい環境を
・自然エネルギー利用や高効率機器による
   運用エネルギー、CO2排出量の削減
・木材などの自然素材利用
・ノンフロン資材の採用
上/①南面庇・バルコニー 下/⑤透水性舗装
上/①南面庇・バルコニー 下/⑤透水性舗装
③ガラス屋根中庭
③ガラス屋根中庭

賢く・永く使う

(1)建物の寿命をのばす
・可動間仕切や可動家具により学習形態の
   変化に対応
・内部間仕切の乾式化により将来の改修にも配慮
・フリーアクセスフロア、鋼製床組の採用
・木材は無垢材を積極的に採用

(2)自然の恵みを活かす
・風の塔などにより中間季の自然通風を促進
・中庭による自然採光、自然通風の促進
・太陽光パネルの設置
・クール&ヒートピットの安定した地中温度を
   空調の予冷・予熱に利用
・風力発電付街灯の設置
・雨水貯溜した雨水を中水として利用
・プールには井水を利用

(3)賢く使う
・LED照明や明るさセンサー、ひとセンサーの採用
・節水型器具の採用
・適切な空調ゾーニング、全熱交換器の採用
・全館の照明や空調を職員室で集中管理
   →消忘れや無駄な設定温度操作の防止
⑧ふれあい階段(ハイサイドライト・居住域空調)
⑧ふれあい階段(ハイサイドライト・居住域空調)
②太陽光発電パネル
②太陽光発電パネル
④風力発電付街灯
④風力発電付街灯
⑦採光ガラスブロックで明るいアリーナ
⑦指向性ガラスブロックで天井に西日を転写し、
   明るいアリーナ

学習に資する

(1)児童が環境について学習できる計画

□ 見る
・各学年ごとにエコパネルを設置し、太陽光発電量や
   各室の室温、空調利用状況などを表示
□ 感じる
・自然通風・自然採光の体感
・クール&ヒートピットの配管に温度計をつけ、
   児童がわかる工夫
□ つくる
・自家発電式の自動水栓の採用
・発電床(人の振動による発電システム)による
   日常的な電気の学習

(2)地域の人々の意識向上に役立つ計画
・エコパネルを昇降口と各学年クラスターに
   設置して、地域の方にもエコを身近に感じてもらう
・太陽光パネルが外部にも見える外観デザイン
・風力発電付外部照明の採用(LED照明)
上/⑥エコパネル 下/⑩LED照明
上/⑥エコパネル 下/⑩LED照明
⑨発電床
⑨発電床
設計者顔写真
鵜飼 浩平(設計室 主任技師)

担当者コメント

エコスクールは一言で言えば、「環境を考慮した学校施設」ですが、求められるものは施設面・運営面・教育面と多岐に渡ります。 省エネ効果を図ることはもとより、子ども達が学習・生活しやすい環境をつくること、 そして何より、環境について学ぶことのできる学校をつくることがエコスクールでは大切であると考えています。 大口南小学校では、先生方が校舎を活用した環境学習の授業に取り組んでいただいています。 子ども達は環境学習によってきっかけをつくり、学校にちりばめられたエコの仕掛けを体験しながら学ぶ、 そしてエコパネルで観察をしながら、さらに理解を深めていきます。
環境に配慮した学校をつくるという単なるハード面の整備だけではエコスクールにはなりきれません。 お手伝いしている環境学習の授業で子ども達にエコスクールの話をすると、目をキラキラさせながら、 「なぜ?」「どうして?」「どこが?」と次から次へと質問が飛んできます。 私はこの瞬間こそが子ども達にとって学校が「エコスクール」になる瞬間であると感じています。 子ども達の好奇心は無限大です。その無限大の好奇心を『環境』に向けることができるエコスクールは、 これからの時代を担う子ども達の日常生活の場として、大変有意義であると考えています。